「習慣化には66日かかる」という話は、21日の俗説の大人版のように聞こえます。今回は、数字の出どころが実際の研究です。とはいえ、それはある参加者グループの中央値であって、自分にとっての期限ではありません。そして、もとになった論文には、見出しよりもずっと多くのことが書かれています。
何が測られたのかがわかれば、66日は習慣化チャレンジにちょうどいい長さになります。きつい中盤を越えられるくらい長く、計画を立てられるくらい短いからです。ここでは、研究でわかったことと、66日間をまるごと通したプランを紹介します。
「66日」はどこから来たのか
2010年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のフィリッパ・ラリー(Phillippa Lally)らが、European Journal of Social Psychology誌に論文を発表しました。日本では「ロンドン大学の研究」として紹介されることも多い論文です。96人の参加者が、食事・飲み物・運動のいずれかに関する健康的な行動をひとつ選び、それを12週間、たとえば朝食のあとなど毎日同じ状況で続けました。参加者は毎日、それがどれくらい自動的に感じられるか、つまり考えたり思い出したりしなくても、どれくらい自然にできているかを評価しました。
典型的なパターンでは、自動性は最初に急速に高まり、その後は横ばいになりました。研究を最後まで続けた82人のうち、データがこの曲線によく当てはまった39人では、横ばいに達するまでの日数の中央値が66日でした。
66日が意味しないこと
- 期限ではありません。個人ごとの日数は18日から254日まで幅がありました。長いほうの数字は推定値です。研究そのものは12週間で終わっているからです。
- どの習慣でも同じではありません。統計的に有意ではないものの、水を飲むような簡単な行動のほうが、腹筋50回のような大変な行動よりも早く定着する傾向がありました。
- 合否を決める試験ではありません。1日休んでも、習慣づくりに大きな悪影響はありませんでした。ただ、休んだ日が多いと、間隔があいていても影響は積み重なり、その習慣は自動的になりにくくなりました。
- 最終的な結論でもありません。Singhらによる2024年のレビューは、20件の研究を集めています。習慣になるまでの期間を測った4件では、中央値が59〜66日、平均が106〜154日、個人の日数は4〜335日でした。
つまり、シンプルな毎日の習慣なら2か月ほどがひとつの目安で、それよりずっと長くかかるのもごく普通のことです。
それでも66日がチャレンジに向いている理由
いちばん大きく伸びるのは最初の数週間で、そこは21日間のチャレンジでもカバーできます。多くの習慣が伸び悩むのは、4週目から8週目にかけてです。新鮮さはなくなったのに、始めるにはまだ努力がいる時期です。66日間のチャレンジは、まさにその区間を乗り越えるための長さです。
9週間半あれば、旅行や風邪、仕事が目の回るほど忙しい週など、実生活のいろいろなことも起こります。中断のあとに戻ってくる方法を身につけることも習慣の一部で、短いチャレンジではそれが試されることはありません。
3段階で進める66日間プラン
| 段階 | 期間 | 意識すること | きつくなったら |
|---|---|---|---|
| 1. 小さく始める | 1〜21日目 | 毎日同じきっかけで、笑ってしまうほど小さな分量に。やったらすぐ記録します。 | 後回しにせず、もっと小さくする。 |
| 2. 中盤を乗り切る | 22〜44日目 | きっかけは変えずに。週末、旅行、遅くなる夜に備えて、前もって計画を立てます。 | 2分でできる分量に戻してでも、休まない。 |
| 3. 育てる | 45〜66日目 | 始めるのが楽になってきたら、少し増やします。1ページを2ページに、5分を10分に。 | 増やした分量がつらく感じたら、1週間は小さな分量に戻す。 |
66日目には、研究で使われたような質問で、どれくらい自動的になったかを確かめましょう。
- わざわざ思い出さなくても、やっている?
- やろうと決めるより先に、もう始めている?
- やらずにいると、なんだか落ち着かない?
ほとんど「はい」なら、習慣は順調に根づきつつあり、チャレンジは役目を果たしました。まだなら、それもごく普通の範囲内です。習慣を続けながらきっかけをもっとはっきりさせ、数週間後にもう一度確かめましょう。
66日間で何を選ぶか
いちばん向いているのは、決まった状況で毎日する行動です。研究で試されたのが、まさにそういう行動だからです。
- 朝食の席についたら、コップ1杯の水。
- 昼食後に10分の散歩。
- 夜、歯みがきのすぐあとにフロス。
- ベッドに入ったら、本を10ページ。
- 朝のコーヒーを飲みながら、語学を10分。
週に何日かだけの習慣でもかまいませんが、同じ66日でもくり返しの回数が少なくなるので、時間は長めにかかると考えておきましょう。
よくある失敗
- 66日目をゴールだと考える。横ばいになったというのは楽になったという意味で、やめていいという意味ではありません。
- きっかけを毎週変える。習慣が根づくには、いつも同じ状況が必要です。
- 1日休んだだけで、1日目からやり直す。次の日に再開して、2日続けて休まないことだけを意識しましょう。
- 自分の日数を他人と比べる。研究では、人によって数か月の差がありました。
よくある質問
結局、21日と66日のどちらが正しいのですか?
21日は、新しい外見に慣れることについての、形成外科医の観察から来ています。66日はひとつの研究の中央値で、幅は18日から254日でした。まずは短く始めたいなら、21日間の習慣化チャレンジのガイドで最初の3週間を紹介しています。
66日たっても自動的にならない場合は?
それも範囲内です。最長で254日かかると推定された参加者もいましたし、2024年のレビューでは、個人の日数は最長で335日でした。きっかけをもっとはっきりさせ、毎日の分量は小さいままで、続けていきましょう。
本当に毎日やらないといけませんか?
研究で追ったのは毎日の習慣なので、プランも毎日が基本です。1日休むくらいなら問題ありません。ただ、休むことが多いと進みが遅くなるので、最低限の分量は、調子の悪い日でもこなせるくらい小さくしておきましょう。
悪い習慣をやめるのにも使えますか?
これらの研究が扱ったのは、新しい行動を身につけることです。やめるのはまた別の問題ですが、同じ状況での新しい毎日の行動、たとえば午後のおやつの代わりに散歩をするといったことなら、まさにこの方法で身につけられます。
Ripplyで66日間を記録する
Ripplyは、iPhoneとApple Watchで使える無料の習慣トラッカーで、66日は最初から用意されている目標のひとつです。習慣は水をたたえた球体になり、記録するたびに水位が上がっていくので、チャレンジの長い中盤も進み具合が目に見えます。
1週間休まず続けるごとにフリーズが1つ手に入るので、6週目に風邪をひいても、チャレンジが台無しになることはありません。インサイトでは達成率と得意な曜日がわかるので、うまく働いていないきっかけに気づけます。毎日のメモは、何が邪魔をしたのかを思い出す手がかりになります。サブスクリプションも、アカウントも、広告もありません。

